「乳歯が生えてきたけど、歯みがきって何からすればいいの?」——初めての育児で戸惑うことだらけの中、赤ちゃんの口のケアはつい後回しになりがちですよね。「どうせ生え変わるし、まだいいか…」とほんの少しだけ思ってしまう気持ち、よくわかります。でも、乳歯のころからのケアが、その後の永久歯の健康にも深く影響するんです。月齢別に具体的なやり方をまとめましたので、今日から少しずつ試してみてください。
乳歯が生えてきた!歯みがきを始めるサインとは
乳歯はいつ、どこから生えてくる?
乳歯は、一般的に生後6〜8か月ごろに下の前歯(乳中切歯)から生え始めます。歯が生える時期には多少の個人差がありますので、まわりの赤ちゃんより少し遅くても、焦らなくて大丈夫ですよ。上の前歯、奥歯の順に増えていき、乳歯のむし歯を予防するためには、低年齢児を対象とした保健指導が重要とされています。
乳歯が生え始めるころの赤ちゃんには、こんなサインが見られることがあります。
- よだれの量が急に増える
- 歯ぐきをかむような動作をする
- 機嫌が悪くなる・ぐずる
- 頬やあごを手でこすったりする
これらが見られたら、そろそろ口腔ケアを意識するタイミングかもしれません。
ケアを始めるのは「1本でも生えたら」がサイン
乳歯が生え始め、離乳食が始まったら、哺乳びんを使って甘味飲料を与えることを避けるとともに、寝ながらの授乳は控えるようにしましょう。特に夜間の授乳は、歯の表面に糖分が残りやすく、むし歯リスクが高まります。
歯みがきは、最初から歯ブラシを使う必要はありません。まずは濡らしたガーゼを人差し指に巻いて、歯の表面をそっと拭う「ガーゼみがき」からスタートです。スキンシップの延長で、抱っこしながら優しく拭いてあげてみてください。
なぜ乳歯のうちからケアが大切なの?
乳幼児期は歯口清掃や食習慣などの基本的歯科保健習慣を身につける時期として非常に重要であり、生涯を通じた歯の健康づくりに対する波及効果も高い、と厚生労働省も指摘しています[1]。
また、乳歯のう蝕と永久歯のう蝕には強い関連が認められることも明らかになっています[1]。「どうせ生え変わるから大丈夫」は、残念ながら大きな誤解。乳歯のむし歯を早期にケアすることが、将来の永久歯を守ることにつながります。
月齢別ガイド:6か月・1歳・1歳半・2歳以降のケアの変化
生後6〜9か月:ガーゼみがきで「口を触られる感覚」に慣れさせよう
この時期は、下の前歯が1〜2本顔をのぞかせるころ。まだ離乳食の量も少なく、母乳・ミルクが中心なので、900〜1000 ppmFの歯磨剤をごく少量使用する。歯みがきの後にティッシュなどで歯磨剤を軽く拭き取ってもよいという4学会の推奨を参考にすれば、この月齢はまだフッ素入り歯みがき剤は不要です。
この時期のポイント
- 赤ちゃんをあお向けに寝かせ、太ももの上に頭をのせる「ひざまくら」スタイルが安定します
- 湿らせたガーゼで歯の表面・歯と歯ぐきの境目を1〜2分でさっと拭く
- 終わったら笑顔でたっぷり褒めてあげましょう。「気持ちいいね」と声をかけながら行うと安心感につながりますよ
1歳ごろ:歯ブラシへの移行と仕上げみがきのスタート
上下の前歯が合計8本ほどそろってくる1歳ごろから、赤ちゃん用の歯ブラシを使い始めましょう。歯が増えると隣り合った歯の間の汚れもたまりやすくなるため、ガーゼだけでは落としきれなくなってきます。
フッ化物配合歯磨剤を利用した歯みがきを、就寝前を含め1日2回行うことが、日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会など4学会合同の推奨として示されています[2]。
この時期のポイント
- 赤ちゃん用の歯ブラシは「持ちやすいもの」を与えて自分でも持たせてOK。ただし仕上げみがきは必ず保護者が行う
- 1歳以降はフッ素ジェル(900〜1000ppm)を米粒1粒分程度つけて磨くとむし歯予防に効果的
- 磨いた後はうがいができないので、ジェルタイプを使い、ティッシュで軽く拭き取るだけでも◎
1歳半〜2歳:奥歯が生えてくる「むし歯が急増する時期」に注意
1歳6か月児歯科健診では全国的にむし歯は少ないのですが、3歳児になると急激に増加している、と日本小児歯科学会は指摘しています[3]。この1歳半〜3歳の間が、むし歯予防のうえで最も大切な時期といえます。
1歳半ごろから奥歯(第一乳臼歯)が生え始め、歯と歯の間に食べかすがたまりやすくなります。噛む面の溝もむし歯になりやすいポイントです。
この時期のポイント
- 奥歯の溝と、歯と歯の間は特に丁寧に磨く
- 仕上げみがきは「膝まくらスタイル」で、お子さんが安心できる体勢をキープ
- 嫌がるときは歌を歌ったり、お気に入りのキャラクターが描かれた歯ブラシを使ったりして、「たのしい時間」として定着させましょう
2歳以降:20本の乳歯が生えそろうまで仕上げみがきを
2〜3歳ごろまでに乳歯は全部で20本が生えそろいます。3歳から5歳の間に増加する一人平均むし歯数は必ずしも減少傾向を示してはおらず[1]、幼児期の歯科保健の充実が引き続き重要です。
この時期から、子ども自身が「自分みがき」を練習し始めることも大切ですが、磨き残しが多く出るため保護者による仕上げみがきは小学校低学年ごろまで続けるのが理想です。
| 月齢・年齢 | ケアの主な方法 | フッ素の使い方 |
|---|---|---|
| 〜生後6か月(歯なし) | 口周りのスキンシップ | 不要 |
| 生後6〜9か月 | ガーゼみがき | 不要 |
| 1歳ごろ | 赤ちゃん歯ブラシ+仕上げみがき | フッ素ジェル少量(米粒1粒) |
| 1歳半〜2歳 | 仕上げみがき(奥歯も丁寧に) | フッ素ジェル・歯磨き剤(900〜1000ppm) |
| 2歳以降 | 自分みがき練習+仕上げみがき | 歯磨き剤(900〜1000ppm、ソラマメ大) |
歯ブラシの選び方――毛の硬さ・ヘッドサイズ・持ち手の目安
赤ちゃん用歯ブラシはここをチェック
赤ちゃんや幼児の口は小さいので、大人用を代用するのはNGです。月齢に合った歯ブラシを選ぶと、磨きやすく、お子さんへの負担も少なくなりますよ。
選ぶときのチェックポイント
- ヘッド(ブラシ部分)のサイズ: 小さめ(1〜2歯分の幅が目安)のものを。大きいと奥まで届きにくいです
- 毛の硬さ: やわらかめ(ソフト)を選びましょう。歯ぐきが敏感な赤ちゃんには特に大切です
- 持ち手: 転倒したときに口を傷つけないよう、のどを突きにくい安全ストッパー付きやリング型のものが安心です
- 仕上げみがき用と自分みがき用の2本体制: 自分でブラシを持ちたがるようになったら2本用意するのがおすすめです
仕上げみがきの持ち方・角度のコツ
仕上げみがきは保護者が行う大切なケアです。磨き方のポイントを覚えておきましょう。
- 歯ブラシの角度: 歯の表面に対して約45度の角度で当てると、歯と歯ぐきの境目の汚れが落ちやすくなります
- 力の入れ方: 力は入れすぎず、鉛筆を持つくらいの軽い力で小刻みに動かします
- 磨く順序: 上の歯の奥から前歯へ、下の歯の奥から前歯へ、と決めると磨き残しが減ります
- 特に注意したいポイント: 上の前歯の裏側と、奥歯の噛み合わせ面の溝は汚れがたまりやすい場所です
フッ素入り歯みがき剤・ジェルの使い方
フッ化物配合歯磨剤の使用については、メリットとデメリットの両方が考慮されるべきであり、歯の形成期である乳幼児・小児に対しては、歯のフッ素症のリスクとう蝕予防のメリットのバランスを考慮する必要がある、と日本小児歯科学会などの4学会は提言しています[2]。
歯が生えてから2歳、および3〜5歳に用いられる歯磨剤の推奨フッ化物濃度は1000ppmへと変更された[2]ことも近年の重要なアップデートです(2023年4学会合同提言)。以前は500ppm以下が多く使われていましたが、現在は1000ppm以上のフッ素濃度が推奨されています。ただし使用量に注意が必要なため、歯科医師に確認しながら使い始めるのが安心です。
また、フッ化物歯面塗布は単に1回受けても効果は得られません。年2回以上定期的に継続して受ける必要があります。乳幼児に定期的に継続して実施した場合、むし歯をほぼ半分に減少させたとの報告があります[4]。自宅でのフッ素ジェルに加えて、歯科医院でのフッ素塗布を定期的に受けることが、むし歯予防の大きな力になります。
歯科デビューはいつ?初めての歯科受診のポイント
「歯が生えたら歯医者へ」が一番のタイミング
「歯医者はむし歯になってから」と思っていませんか? 実は、歯科受診はむし歯ができてからではなく、歯が生えたころから始まる「予防のための通院」が理想です。
母子保健法により、市町村は、1歳6か月児及び3歳児に対して健康診査を行う義務があると定められています[5]。この1歳6か月健診が歯科デビューの最初のきっかけになる方も多いですが、できれば歯が生え始めた生後6か月〜1歳ごろに一度、かかりつけの歯科医院を受診するのがより望ましいとされています。
初めての受診で何をするの?
赤ちゃんの初回歯科受診は、治療よりも「お口の状態確認と保護者へのケア指導」がメインです。歯科医師や歯科衛生士が次のようなことを確認・指導します。
- 歯の生え方・本数・むし歯の有無の確認
- 噛み合わせのチェック
- 自宅でのケア方法(歯ブラシの選び方・みがき方)の指導
- フッ素塗布(歯の本数や月齢に応じて)
- 食生活・離乳食に関するアドバイス
泣いてしまっても大丈夫です。赤ちゃんが泣くのはごく普通のことで、慣れていけばだんだん落ち着いてきますよ。食後すぐは嘔吐しやすいので、食事の直後の受診は避けるとスムーズです。
定期的な「かかりつけ歯科医院」を持つことのメリット
1歳6か月児歯科健診後のむし歯の治療や「かかりつけ歯科医師」での予防管理が十分ではないのが実状と、日本小児歯科学会は課題として挙げています[3]。健診で終わりではなく、3〜4か月に1回の定期通院を続けることが、長期的なお口の健康につながります。
博多I’S歯科・矯正歯科では、守尾一起院長のもと「抜かない・削らない」を基本方針に掲げ、お子さんの口腔発育に寄り添った予防ケアに取り組んでいます。また、新心会グループに所属し、総勢100名を超える歯科医師が在籍しているため、各分野の専門家と連携した対応が可能です。乳歯の状態はもちろん、将来の咬み合わせや矯正の相談まで、お子さんの成長に合わせてご相談いただけます。
まとめ
- 乳歯は生後6〜8か月ごろから生え始める。1本でも生えたらガーゼみがきでケアをスタートし、徐々に歯ブラシへ移行しましょう
- 月齢別にケアは変化する。6〜9か月はガーゼ→1歳ごろ歯ブラシ+仕上げみがき→1歳半〜奥歯を意識したケアと、段階的に丁寧さを増やしていくことが大切です
- 4学会合同の提言(2023年)では、歯が生えたころから1000ppmのフッ素配合歯みがき剤を使用量に注意して使うことが推奨されています。就寝前を含む1日2回の歯みがきを続けましょう
- 歯科でのフッ素塗布は年2回以上継続することで、乳歯のむし歯をほぼ半分に減らせるという報告もあります。自宅ケアと歯科でのプロケアの組み合わせが効果的です
- 歯科デビューはむし歯ができる前に。1歳半健診を目安に、または歯が生えたころから「かかりつけ歯科医院」を持つことで、むし歯予防と歯並びのチェックを継続的に受けることができます
「そろそろ歯医者に連れて行ってみようかな」と思ったタイミングが、歯科デビューのベストな時期です。博多I’S歯科・矯正歯科は土日も診療しており、お子さまのペースに合わせた対応を心がけています。櫛田神社前駅すぐの好立地で、平日は夜20時まで、土日祝も診療しているため、忙しい子育て中の保護者の方にも通いやすい環境です。初めての受診でもスタッフが丁寧にご案内しますので、24時間WEB予約からお気軽にご予約ください。
博多I’S歯科・矯正歯科
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はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 厚生労働省「歯の健康」mhlw.go.jp
[2] 日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会「う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法【普及版】について」kokuhoken.or.jp
[3] 日本小児歯科学会「これからの小児歯科医療のあり方について」jspd.or.jp
[4] e-ヘルスネット(厚生労働省)「フッ化物歯面塗布」kennet.mhlw.go.jp
[5] こども家庭庁成育局母子保健課「乳幼児健診について(第4回こども家庭審議会成育医療等分科会 資料)」cfa.go.jp
