「要観察って書いてあるけど、今すぐ行かなくてもいいかな…」と思って、結果票をランドセルや引き出しに入れたままにしていませんか?お子さんのことが心配なはずなのに、日々の忙しさの中でつい後回しにしてしまう気持ち、よくわかります。でも、あの小さな記号には「今のうちに対処すれば防げる」という大事なメッセージが込められているんです。この記事では、歯科衛生士の立場から、あの暗号のような記号をやさしくひも解いていきますね。
学校歯科検診の結果票、あの記号は何を意味するの?
結果票はスクリーニング検査の記録です
学校歯科検診(学校歯科健康診断)は、学校保健安全法に基づき、すべての小・中・高等学校で年1回実施される歯科検診です。結果票には歯の状態を示す記号が並んでいますが、最初に知っておいてほしいのは「これはあくまでスクリーニング(ふるい分け)」だということ。学校での検診は限られた器具・環境のもとで行われるため、詳細な診断は歯科医院でのレントゲンや精密検査が必要になります。
結果票に書かれる主な記号の意味
結果票には歯の状態と歯ぐきの状態の両方が記録されています。平成6年に検査の項目が改められて、むし歯「C」ではないが、続けて観察したり、しっかりと予防処置をしないといけない要観察歯「CO」という段階や、歯肉炎「G」ではないが、歯肉炎になりそうな要観察者「GO」というふるい分けが新しく入りました。それぞれの「O」はゼロではなく、観察を意味するObservationの頭文字です。
各記号の意味をまとめると、以下のとおりです。
| 記号 | 読み方 | 意味 | 対応の目安 |
|---|---|---|---|
| CO | シーオー | 要観察歯(初期むし歯の疑い) | 早めに歯科へ相談 |
| C | シー | 未処置歯(むし歯あり) | 治療が必要 |
| G | ジー | 歯肉炎(歯ぐきに炎症) | 歯科での診断・治療が必要 |
| GO | ジーオー | 歯周疾患要観察者 | セルフケア改善+歯科受診 |
| ○(マル) | 処置歯 | 治療が完了している歯 | 定期観察でOK |
| △(サンカク) | 喪失歯 | 永久歯がすでに失われている | 歯科医に確認 |
「C」「G」「O」のアルファベットの由来
「C」はCaries(むし歯)の略、「G」はGingivitis(歯肉炎)の略、「O」はObservationの略です。「CO」「GO」はそれぞれ「シーオー」「ジーオー」と読み、Oは数字のゼロではありません。アルファベットの由来を知っておくと、記号がぐっと頭に入りやすくなりますね。
「CO(要観察)」はすぐ治療が必要?放置するとどうなる
COは「穴が開く一歩手前」のサイン
「要観察だから今すぐ行かなくていい」と感じるのは、無理もないことです。でも、COの状態を正確に知ると、少し気持ちが変わるかもしれません。
要観察歯(CO)とは、視診にて明らかなう窩(穴)は確認できないが、むし歯の初期病変の徴候(白濁、白斑、褐色斑)が認められ、放置するとむし歯に進行すると考えられる歯です。
つまり、COは「今すぐ削る治療は不要」でも「何もしなくていい」ではありません。この段階こそ、歯科医院でのケアが大きな意味を持つタイミングなんです。
CO段階なら「削らない」経過観察が可能な場合も
エナメル質や歯根象牙質の初期う蝕(う窩の形成はない状態)は、脱灰によって失われたミネラルを再び回復する再石灰化が十分に行われればう窩は生じません。これを「再石灰化(さいせっかいか)」といいます。簡単にいうと、歯の表面が少し溶け始めた状態でも、フッ素(フッ化物)入り歯磨き粉の活用や正しい歯磨き、食生活の改善によって、歯が「自己修復」できる可能性があるということです[1]。
佐賀県歯科医師会の資料によると、学校歯科保健の分野でCOが取り入れられたのは、適切な指導・観察などの管理を行うことにより、初期のう蝕病変を疑わせる歯が実質欠損を伴うう蝕病変へ進行するのを予防することを目的としています。
博多I’S歯科・矯正歯科では「抜かない・削らない」を基本方針に掲げています。CO段階で来院いただければ、フッ素塗布などの予防処置と定期的な経過観察を組み合わせ、なるべく歯を削らずに済む管理を一緒に考えていきます。
CO段階で受診せずにいると…
もしCOのまま放置してしまうと、むし歯菌が少しずつ歯の内側へと進行していきます。むし歯が象牙質(エナメル質の内側の柔らかい部分)に達すると痛みが出始め、神経にまで進めば根管治療(歯の根の治療)が必要になることも。当然、治療期間・費用・歯へのダメージすべてが大きくなってしまいます。
> 「COは今すぐ削らなくていい」=「何もしなくていい」ではありません。
> この段階だからこそ、削らずに守れる可能性が高いのです。
「C(虫歯)」「G(歯肉炎)」「P(歯周病)」それぞれの緊急度の目安
「C」は要治療。できるだけ早く受診を
「C」が書かれていたら、すでにむし歯が進行しています。歯科医師による治療が必要な状態です[2]。
文部科学省の令和5年度学校保健統計調査(確定値)によると、むし歯(う歯)の者の割合は、小学校・高等学校で4割を下回り、幼稚園・中学校では3割を下回っています。全体的にむし歯は減少傾向にあるとはいえ、依然として3〜4割の子どもたちに何らかのむし歯・治療歴がある状況です。
Cは進行度によってC1〜C4に分類されます。
| 段階 | 状態 | 主な症状 | 緊急度 |
|---|---|---|---|
| C1 | エナメル質のみのむし歯 | ほぼ無症状 | 早めに受診 |
| C2 | 象牙質まで進行 | 冷たいものがしみることも | 速やかに受診 |
| C3 | 神経(歯髄)に到達 | 強い痛みが出ることが多い | 至急受診 |
| C4 | 歯の大部分が崩壊 | 歯根のみ残存 | 至急受診 |
当院ではCT(コンピュータ断層撮影)や光学スキャナー(iTero5D)を導入しており、視診だけでは見えにくい歯と歯の間のむし歯や、詰め物の下のむし歯もより精度の高い形で確認することができます。
「G」「GO」は歯ぐきからのサインです
歯肉炎はプラーク(歯垢)が歯の表面に多量に付着し、その中で繁殖する細菌の刺激によって、歯肉に炎症が起こるものです。歯肉炎を長期に放置しておくと、炎症は歯肉を通り越し、深層の歯根膜、歯槽骨などの歯を支える組織が徐々に破壊されて歯周炎となります。
「G」が結果票にあった場合は、歯科医師による診断・治療が必要な状態です。一方「GO」は「今すぐ歯周炎というわけではないけれど、セルフケアを見直して」というサインです。
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「P」「△」などその他の記号について
学校歯科検診の結果票には、地域・学校によっては「P」(歯周病)や「△」(永久歯の喪失歯)が記載されることもあります。「C」「G」「歯列・咬合・顎関節の2」と判定されたものは、歯科医師による精密検査・診断が必要な「要精検」の区分にあたります。「P」や「△」はそれぞれ精密検査が必要な状態を示していることが多いため、見逃さず早めに受診することをおすすめします。
歯科受診の後に家でできること——毎日の小さな習慣が大切です
夜の歯磨きにプラス「フロス」を一本
歯科を受診してもらえれば、その子に合ったブラッシング指導ができます。でも、変わるのは診察室の中だけでは不十分で、毎日のセルフケアが肝心です。
特に意識してほしいのは「夜だけはデンタルフロスを使う」こと。歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れ(歯垢・プラーク)が落とせません。就寝中は唾液の分泌が減るため、夜に残った汚れがむし歯・歯肉炎を進行させやすいのです。
フッ化物利用は、歯質のむし歯抵抗性(耐酸性の獲得・結晶性の向上・再石灰化の促進)を高めてむし歯を予防する方法で、局所応用にはフッ化物歯面塗布・フッ化物洗口・フッ化物配合歯磨剤が含まれます。[1]歯科医院でのフッ素塗布と合わせて、フッ化物配合の歯磨き粉を毎日使うことが、CO段階の歯を守る上でも非常に大切です。
甘い飲み物・食べ物の「だらだら食べ」に注意
むし歯の進行には「食事の回数・時間」が大きく関係しています。砂糖を含む飲食物をとるたびに口の中が酸性になり、歯のミネラルが溶け出します。再石灰化が追いつくように、食事・おやつの時間は区切って、間食はなるべく短時間で済ませるのがコツです。特に清涼飲料水やスポーツドリンクを「ちびちび飲む」習慣は要注意ですよ。
歯ぐきが気になったら「グーっと力を抜いて磨く」
歯ぐきがGO・Gだったお子さんには、歯磨きのあて方が強すぎることもよく見られます。「ゴシゴシ磨き」は歯ぐきを傷つけてしまうことも。歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先をそっと当てて、小刻みに動かすのがポイントです。日本歯科医師会の資料では、学校歯科医がCO・GOの子どもに対して、その子の状況に応じた生活習慣の改善や歯磨き法を指導し、健康相談を行うなど事後措置を行うと定めています。歯科衛生士からの歯磨き指導を受けることで、お子さん自身が正しい習慣を身につけやすくなります。
まとめ
- 「CO」は要観察であって「何もしなくていい」ではありません。 この段階でケアを始めることで、削らずに歯を守れる可能性があります。佐賀県歯科医師会の資料にも、適切な指導・観察によりむし歯への進行を予防できると示されています[2]。
- 「C」は要治療。 文部科学省の令和5年度学校保健統計調査では、小学校でのむし歯被患率は4割を下回る水準ですが[3]、むし歯は放置すれば確実に進行します。早めの受診が歯を守る近道です。
- 「G」「GO」は歯ぐきのサイン。 特にGは歯科受診が必要な炎症があり、放置すると歯を支える骨に影響が出ることもあります。歯ぐきの出血が気になるときはためらわずご相談ください。
- 毎日のセルフケアが土台。 夜のフロス習慣とフッ化物配合歯磨き粉の活用が、結果票を改善させる第一歩です。
- 当院はCTや光学スキャナーで精密確認。 博多I’S歯科・矯正歯科では「抜かない・削らない」を方針に、CO段階からの予防管理にも力を入れています。新心会グループとして100名超の歯科医師が在籍しており、子どもの口腔ケアから矯正まで幅広く対応可能です。
「要観察」「虫歯あり」の結果票が届いたら、まずはご相談ください。博多I’S歯科・矯正歯科は、福岡市博多区の櫛田神社前駅すぐ(徒歩3分)にあり、平日は夜20時まで、土日も診療しています。「平日は仕事で行けない」「子どもが学校から帰ってからでないと…」というご家庭にも通いやすい診療時間を設けています。24時間WEB予約にも対応していますので、結果票が手元に届いたタイミングで、そのままご予約いただけます。お気軽にどうぞ。
公式サイト:https://hakatad-c.com/
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 厚生労働省「フッ化物洗口マニュアル(2022年版)」mhlw.go.jp
[2] 佐賀県歯科医師会「要観察歯CO(シーオー)について・学校歯科健診」saga-dental.or.jp
[3] 文部科学省「令和5年度学校保健統計調査の結果公表について」mext.go.jp
[4] 日本歯科医師会 テーマパーク8020「学校歯科医」jda.or.jp
