歯みがきのあとに洗面台が赤くなっていた、食事中に口のなかに血の味がした――そんな経験、ありませんか?
「毎回じゃないから大丈夫かな」と思いながらも、なかなか止まらないと心配になりますよね。
じつは歯茎からの出血は、全年齢層の約4割の人に見られるといわれています[1]。珍しいことではないけれど、だからといって放っておいていいわけでもない。なぜ出血するのか・どう対処するかを正しく知っておくと、いざというときに焦らずに動けますよ。
歯茎から血が出る理由って何?
圧倒的に多い原因は「歯周病」です
歯茎の出血でいちばん多い原因は、歯周病(歯肉炎・歯周炎)です。
歯周病は、歯と歯茎の境目に溜まったプラーク(歯垢)の中の細菌が原因で起こります。プラーク1mgの中には1億個以上もの細菌が含まれていて[1]、その毒素が歯茎に炎症を引き起こします。炎症が起きると歯茎の血管がもろくなり、歯ブラシが少し触れただけでも出血しやすくなるんです。
歯肉炎の段階では「歯茎が赤くなる・腫れる・出血する」が主な症状。放置すると歯周炎へと進み、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、最終的には歯がぐらつく・抜けるという状態になります[2]。
> 歯周病の進行イメージ
| ステージ | 主な状態 | 代表的な症状 |
|---|---|---|
| 歯肉炎 | 歯茎だけに炎症 | 腫れ・出血・口臭 |
| 軽度歯周炎 | 歯槽骨が少し溶けはじめる | 出血・ポケット深化 |
| 中等度〜重度歯周炎 | 歯槽骨が大きく溶ける | 排膿・歯のぐらつき |
歯周病以外にも原因はあります
出血の原因が歯周病とは限りません。以下のようなケースも考えられます。
- ブラッシング圧が強すぎる:力を入れすぎると健康な歯茎でも傷つきます
- 歯間ブラシ・フロスの使い始め:慣れていない方は最初の数日間、多少出血することがあります
- 詰め物や被せ物が歯茎に当たっている:合っていない補綴物が慢性的な刺激を与えることも
- 全身的な要因:抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を服用している方は出血が起きやすく、止まりにくい場合があります[3]
当院の守尾院長は「抜かない・削らない」を基本方針に、症状だけでなくなぜ出血しているのかという根本原因にアプローチする「原因療法」を大切にしています。出血が繰り返す場合は、ぜひ一度原因を調べてみましょう。
血が出たときの応急処置、正しい手順は?
落ち着いて「圧迫」するのが基本
歯茎から血が出ると驚いてしまいますが、実際に出ている血の量は少量であることがほとんどです。唾液と混ざることで多く見えてしまうんですね[4]。まずは焦らず、次の手順で対処してみてください。
止血の手順(5ステップ)
- 準備する:清潔なガーゼ(ない場合はティッシュペーパーでも可)を用意する
- 軽くうがいする:出血部位をそっとすすいで汚れを落とす(強くうがいしすぎない)
- ガーゼを当てる:折り畳んだガーゼを出血部位に軽く押し当てる
- 圧迫する:5〜10分、一定の圧力でじっと押さえ続ける。途中でのぞかない
- 止血後は安静に:血が止まったら強いうがいや患部を舌で触るのは控える
ポイントは「一定の圧力でじっと押さえる」こと。何度もガーゼを外して確認したり、強くうがいしたりすると、せっかく固まりかけた血栓(かさぶたのようなもの)が崩れてしまいます。
抗血栓薬を服用している方へ
血液をさらさらにする薬(ワーファリン・アスピリンなど)を飲んでいる方は、出血が止まりにくい場合があります[3]。圧迫しても止まらないときは無理をせず、早めに歯科へ。受診の際はお薬手帳を持参してください。当院では服用薬を確認した上で、安全に配慮した対応をしています。
こんな出血は歯科医院へ:受診すべきサイン
応急処置で止まることが多い歯茎の出血ですが、以下のような場合は早めに歯科医院を受診してください。
すぐ受診のサイン
- 30分以上圧迫しても血が止まらない
- 手足に点状の出血(小さな赤い点)や内出血がある
- 鼻血など口以外の部位でも出血している
- 抗血栓薬などを服用中の突然の大量出血
- 激しい痛みと腫れを伴っている
特に、口以外にも出血が見られる場合は、血液の凝固に関わる全身的な問題が隠れていることがあります[4]。歯科での診察とあわせて、内科への相談も検討してください。
急いでいないけど受診してほしいサイン
- 歯みがきのたびに毎回血が出る
- 出血がなくても歯茎が赤くぶよぶよしている
- 歯と歯茎の境目に歯石が目立つ
- 口臭が気になっている
「毎回少し出るだけだから…」と先送りにしていると、歯周炎へと進行してしまいます。e-ヘルスネットのデータによると、歯周ポケット(歯茎と歯の間の溝)を持つ人の割合は年齢とともに高くなり、45歳以上では過半数を占めるとされています[5]。定期的なチェックが大切ですよ。
歯茎の出血を繰り返さないためのセルフケア
歯ブラシの使い方を少し変えてみる
出血の多くはプラークが原因なので、プラークコントロール(歯垢をためない習慣)が予防の基本です。
歯ブラシのポイント
- 毛先を歯茎の境目に45度の角度で当てる(バス法)
- 力は「軽く触れる程度」。ゴシゴシ擦らなくていいんです
- 1本ずつ小刻みに(2〜3mmの幅で)動かす
- 1回3分以上、特に就寝前は丁寧に
フロスや歯間ブラシを「夜だけ」から始めてみて
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きません。プラークの6割は歯間部に溜まるといわれているほど、ここのケアはとても重要です。
でも「フロスって面倒…」という方、まずは夜だけで大丈夫ですよ。
- デンタルフロス(糸ようじ):歯間が狭い方に。1日1回、夜の歯みがき後に
- 歯間ブラシ:歯間が少し広い方・ブリッジがある方に。自分の歯間の大きさに合ったサイズを
「歯間ブラシを使い始めたら出血した!」という方も多いんですが、健康な歯茎なら数日で出血は落ち着いてきます。1週間以上続くようなら歯周病のサインかもしれないので、歯科で確認してもらいましょう。
当院では患者さん一人ひとりの歯並びや歯茎の状態に合わせたブラッシング指導を行っています。「自分にはどのサイズの歯間ブラシが合うのか」「どこが磨けていないのか」など、一緒に確認しましょう。
定期的なクリーニングで「溜めない」体制を
どんなに丁寧に磨いても、歯石(プラークが石灰化して固まったもの)は歯ブラシで取ることができません。歯石は歯茎の炎症を悪化させる原因になるため、3〜6か月に1度の定期クリーニングで取り除くことが大切です。
当院では光学スキャナー(iTero5D)やCT・マイクロスコープを活用して歯茎の状態を精密に確認し、守尾院長の「原因療法」の方針のもと、再発しにくいお口の環境づくりをサポートしています。「毎回血が出るけど、歯医者に行くほどじゃないかな…」と思っているなら、ぜひ一度相談にいらしてください。
まとめ
- 歯茎からの出血の主な原因は歯周病。プラーク中の細菌の毒素が歯茎に炎症を起こし、出血しやすい状態になります
- 応急処置は清潔なガーゼで5〜10分の圧迫が基本。口の中は唾液と混ざって多く見えますが、実際には少量のことがほとんどです
- 30分以上止まらない・手足にも出血がある・抗血栓薬服用中の突然の出血は早急な受診のサインです
- セルフケアは「夜だけフロス」から始めるのがおすすめ。歯ブラシで落とせないプラークを歯間からケアすることが再発予防になります
- 歯周ポケットを持つ人は45歳以上で過半数を占め、定期的なクリーニングが欠かせません
歯茎の出血でお悩みでしたら、一人で抱え込まずにご相談ください。博多I’S歯科・矯正歯科は、福岡市博多区・櫛田神社前駅からすぐ(徒歩3分)の場所にあります。平日は夜20時まで、土日祝も診療(日曜は16時まで)しており、24時間WEB予約にも対応しています。守尾院長をはじめとするスタッフが、「なぜ出血するのか」という原因からしっかり向き合います。急な症状でも急患対応をしていますので、まずはお気軽にお電話またはWEB予約からご連絡ください。
参考文献
[1] 日本歯科医師会「歯周病」jda.or.jp
[2] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周病とは」kennet.mhlw.go.jp
[3] 日本歯科医師会「抗血栓療法を受けている方」jda.or.jp
[4] 厚生労働省「出血傾向」mhlw.go.jp
[5] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周疾患の有病状況」kennet.mhlw.go.jp
